渋谷の喫茶/番田
私は今日も渋谷にいた
スクランブル交差点の人混みに紛れていた
疲れているときは ただそうすることだけが
私自身を確かにする
今日 友人は予定があるのでいなかった
私はドトールコーヒーの中で資格の勉強をする
赤い下敷きを持った スーツ姿の男たちと共に
誰も会社の将来に希望はなかった
自分の 生き延びる 道へと
誰もがひたすら 歩いていくことだけ
頭の良い人間でなくても もう
すでにそのことに気づいていた
高校生のように 今を生きたいのなら それも良い
しかし この国の繁栄は長くは続かない
私たちの予感が的外れなものであったとしても
私たちはこの国を支え続けなければならなかった
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