初夏の午後に/南無一
遠く
遥かに
夢は
朽ち果て
おぼろげに 刻はながれる
空に 雲が ひとつ 浮かんでいる
風が 木の葉と 遊んでいる
おだやかな 初夏の午後
死んだ魂のように
はたはたと
一匹の
蝶が
喪った花を 探している
かつて
どんなにか
憎みさえしていた
こんな 静かな 陽のひかりの 景色を
なぜか いまは いとおしくさえ 感じている
空に 雲が ちぎれ 消えようとしている
汗ばんだ額に 右手をかざし
見上げている
そう
あの時も
同じように そうだった
でも いまは ちがっていた
やさしい諦めにつつまれていた
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