逃亡者へ/りぃ
いつだっただろう
貴方の居た世界が見えた
隙間からこっそり見つけた世界は
とてもダークで怪しい気配がした
知らない言葉が飛び交って
腕にお絵かきした人とか
ピカピカの黒い車とか
綺麗な女の人たちとか
ピストル、とか。
好きな人の事はみていて分かるの
貴方はいつも切り詰めていた
顔は硬く強張って
安らぎなんてその世界には無かった
逃げ出したいとも言わない貴方の
その手を握り締める位しか
出来る事は何も無くて
幼い手しか、もって居なくて。
貴方がもし逃げたいとそう言ってくれたなら
こんな頼りない手も役に立つだろう
立ち向かえとは言わない
その手を取って逃げるよ
どこまでも、何処へでも。
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