「夜、プラットホーム」/ベンジャミン
 
淀んだ感情にくるまれて
不安げな蛍光灯が影を揺らす

遠くに
まるい光がぼんやり見えてくると
敏感な肌が泡立つように怯え始める

やってくる
近づいてくる

しがみつくものもない孤独の端っこで
身をかがめても剥き出しの弱さが
真実を突きつけられる瞬間
黒い塊が叫び声をあげて通過する

月あかりの下で

どこにもないプラットホームには
忘れ物だけが残された

要らない物ほど長い時間を彷徨う

うつむいた足元には
いつのまにかそういう過去が
番号もふられずに積まれてゆくのだ




戻る   Point(4)