「夜、プラットホーム」/ベンジャミン
淀んだ感情にくるまれて
不安げな蛍光灯が影を揺らす
遠くに
まるい光がぼんやり見えてくると
敏感な肌が泡立つように怯え始める
やってくる
近づいてくる
しがみつくものもない孤独の端っこで
身をかがめても剥き出しの弱さが
真実を突きつけられる瞬間
黒い塊が叫び声をあげて通過する
月あかりの下で
どこにもないプラットホームには
忘れ物だけが残された
要らない物ほど長い時間を彷徨う
うつむいた足元には
いつのまにかそういう過去が
番号もふられずに積まれてゆくのだ
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