地面に手を埋めるのは止めることにした/noman
 
窓の傷がその数の分だけ
月日を遡らせる
傷の向こうの青空は
ヒトの体温に近い温度を
眼球に投影させようとする
手に触れる距離に 砂が
あるといい
砂の付着した手で
窓の傷をなぞる
傷と
傷の隙間から
差し込んできた光が
砂粒の上に塗りたくられ
片方だけが切れたヘッド
ライトのように
少し 甘い寂寥を
押し付けてくる
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