透明/梼瀬チカ
 
遠く新幹線の中から
見える富士山の後ろから続く
うすい白にちかい青空
しばらく見ていたら
君を思いだした
うっすらと透明な
少しぼんやりとした
あの青空の富士山の頂上みたいに
見える君を
座席はついてない真ん前で
車内の灰色が現実で
ひどく嫌悪して
斜め後ろで座席をむけあって
缶ビールを空けている
人たちと分けへ立てて
独りの君を見たいと思った
私を好きでも嫌いでもない
普段のきみのそば
透明人間みたいに歩いて
意識なんて無く
意識なんてしてない君を
君はそんな自分に気づいているんだろうか?
それから私がいつもこんな風に
そばにいても今まで会った人たちみたいに
好きになったり
嫌いになったり
しながら
一緒にいるのが当たり前みたいに
透明人間みたいに感じないことに
とりあえず
君に会いにゆくよ








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