ばらのこと2/はるな
些細な出来事よりもずっとずっと多くの覚えていない日々がわたしをつくっている。ということが、わたしをどんな意味より肯定する。
わたしは、ずっと肯定されたかったのだ。
娘が、たとえば「生んでなんて頼んでいない」と言ったら、どうする?と父に聞かれて(おそらくわたしがそのようなことを父に言ったことがあるんだろう―恐ろしいことに、覚えていないのだけど―)、なんにも考えずに、「ごめんねっていう」と口にしていた、わたしは、ごめんねって言われたかったのだろうか。
生きていくことはおそろしいことだったし(今ももちろん)、居たくなかったし、見たくなかったし聞きたくなかった、そういうことを、ごめんねと言われた
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