日陰がいい季節になった/ただのみきや
 
はもっと細く軽やかな脚
もっとくびれた腰つきで
蟻たちが季節を緻密に刻んでいることには気づかない

日陰がいい季節になった
ホットには入れないミルクを
アイスには少しだけ
かき混ぜないで そっと吸う

 愛は万人のもの
 憎しみだけが個人資産

そんな稼ぎにもならないことを
一日の隙間に仕舞い込んでいる
日の当たる場所をそっと覗いて 
狐みたいにずるそうな顔



         《日陰がいい季節になった:2015年5月27日》





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