日陰がいい季節になった/ただのみきや
 
冷たい石の陰に身をひそめる蜥蜴
葉の裏で翅を休めるクロアゲハのように
公園から木影のはみ出している場所へ
車をすっと 滑り込ませる

小柄な老女が日傘をさし
現場作業員の日焼けした顔の向こうを通り過ぎる
迷い込んだような 自分の時間の上を歩いて

重機が唸りを上げて土砂に噛みついた
幼子は怪獣に夢中だ
つないだ手が伸びきっても まだ もっと

通りの向こう 惜しげもなく
晒された娘たちのすねひざもも 
それだけを別注で作らせた石膏像

上には取手がふたつあるティーカップ
硬質な顔と目花口の柄模様
時間に追われるように爪先立ちで行くが

その足元の縁石にはも
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