私もだよ/
斎藤 九
ある古本屋に行きたまたま開いたページに
弱音が書いてあった
「苦しい」と
私はそれを買い、それに返事のようなものを書いた
「私もだよ」
それだけだったのに
なんとなく赤の他人と
分かり合えたような
そんな気がしたんだ
返事のこない
やりとりに
ふと虚しさは感じなかった
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