NEKOTALGIA・? <月のあんまり紅い夜>/南無一
 


月のあんまり紅い夜
迷い猫が 迷い込んで
あばらの透けた その躰
夕食の煮魚の匂いを
ぼくの唇に 嗅ぎつけて
しきりに 顔を おしつける

煙草の先に 火を点けて
欠けた小皿に ミルクを流す

猫の赤い舌が
白いミルクに 濡れるのを
真剣に見詰めながら
自分に酷く生きようと
ぼくは こころに思ってた

月のあんまり紅い夜
迷い込んだ 迷い猫
あんまりあどけない その仕草
あんまりあどけない その寝顔

猫のあたまを 撫でながら
他人にやさしく生きようと
ぼくは こころに誓ってた



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