みずにゆらぐ/ただのみきや
 
うしかなく
飢え渇き
渦巻きながら
声にならない声で呼び合った
他に魚一匹いない
孤独の沼で

雨が降る
天気予報のせいではない
当たりでも外れでも
好ましくてもそうでなくても
雨は降るべくして降り
わたしたちは出会うのだ
運命として飾り付けても
偶然として破り捨てても
快楽であれ苦痛であれ
何をもたらすとしても
そうして互いを
己が魂のように抱きながら
決して混じり合うこともなく
本当は何も知らないままで
ただ感じ 
揺らぐだけ


     《みずにゆらぐ:2015年5月23日》



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