否定の時間帯/
noman
旅行者たちの
スーツケースの色のひとつひとつを
記憶に残して
休日を満たす
左側の視界が急に
暗くなり
右側の明るさが少し
邪魔になる
蛇行しながら
虚構に近い方へ
わずかな猶予に
頭をもたせかけ
右脚に力を入れる
今から
数時間の
うちは
音はなんの意味もなさない
ただ
空欄と
空欄の
隙間に横たわる
不連続な時間の流れに手を
伸ばし続けていたい
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