ゴッド・ハンド/為平 澪
 
切れになって
夜、燃やされたり ばらまかれたりして
宣伝された

手袋を嵌めた手は毎日 器から
人を掬ってはこぼし 掬ってはこぼし
持ち上げた人数だけ指折り数えた

    ( 数字だけが、行進していく
    ( 記録は、看板を作る



朝日が昇る寸前
現れた巨大な透明な両手

その手は
こぼれ落ちた人も手袋の人も
数えないで 抱き上げ掬い上げた



それらを
夢にして見せるには
数える指が いつも足りない

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