無題/
梓ゆい
薄く紅を差した土気色の唇。
「顔が綺麗になったね。」とつぶやく母が
少しだけ微笑んだ。
「また、何処かで会おうね。」と棺を覗く妹は
涙をぬぐう事も無く
もうすぐ灰になる父に話し掛ける。
(外は白く覆われたヴェールのよう。)
花嫁衣裳の変わりに
三人姉妹は今日
おろしたての喪服を着た。
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