NEKOTALGIA・? <ふっくら毛の猫>/南無一
春の空は かぎりなく 青く
うかんでいる雲は かぎりなく 白い
ぼくは そのまぶしさに
目を 細めている
陽の光りは
ありとあらゆるものに
降りそそいでいる
ゆったりとした 午後の 日溜りのなかで
ぼくは しずかに まどろむ
ふっくら毛の猫が
ぼくのまえを
貴婦人のような足取りで 横切る
横切ったあとで
ゆっくりと 首を向け
ぼくを 見る
その視線に ぼくは 一瞬 たじろぐ
そのたじろぎのなかで
ふっくら毛の猫を ぼくは 愛した
春の空は かぎりなく 青く
うかんでいる雲は かぎりなく 白い
戻る 編 削 Point(1)