巨大な比喩/左屋百色
 
です。この世に詩は存在しない。あなたが生きて存在していることが詩なのです。死んだら巨大な比喩になりましょう。いつか誰かが誰かを詩にするでしょう。風が吹くから花が揺れるのではありません。花が咲いているから風を感じるのです。詩のように雨が降り比喩のような水たまりができる現代。雨が上がり虹が出たとします。あなたには虹を詩にすることはできません。虹があなたを描くのです。私はそれを知っています。あなたがどんな人かは関係ありません。私がどんな人かも関係ありません。あなたや私がどんな人でも虹は出る時は出るのです。あなたに個性はいりません。主張も必要ありません。虹があなたの個性を知っています。花があなたの主張を聞いています。あなたの比喩を私にください。私の比喩をあなたにあげます。まだ誰も詩を書いてはいないのです。

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