小さき絵/ヒヤシンス
 

 霧の漂う高原で朝を迎える
 冷えた暖炉に薪をくべる時
 私の内側で眠っていた生命の光も
 優しく穏やかに目を覚ます。

 何かが覚醒するときに感じる小さなエクスタシーは
 すでに準備されていたもので
 窓から滑り込むそよ風は
 私の細胞の一つ一つ 花開くように物語る。

 私のエアポートから限りなく飛び立つ蝶の群れは
 清清しい緑の絵画で
 求める愛を運んでくれる。

 幼い日々に蘇る遠い記憶。
 その瞬間過去は過去でなくなり
 高原に溶け込む水彩画となる。
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