わたしの部屋には/ただのみきや
中にある
――まあ
あれこれ言い訳してもしょうがない
我こそは幻想郷に巣くう妄想狂なり
ここが相続地 わが館
貧しき精神の小舟が時空を超える港
あらゆるものへ変容し
また木偶の坊へと戻る 隠し部屋よ
誰ひとり招くこともないが
ただ描き記した言葉の奥の暗闇から
時折漏れてくる ゆれるランプの灯
生者と死者が出会い
虚構と現実が一つのテーブルに着く
魂の揺らぎの残像から成る都市で
愛すべき幻たちが集い戯れる広場には
孤独や悲哀が愛や喜びの如く咲き乱れ
透明なうねりに揺蕩いながら
幼生が脱皮を繰り返すように
瞬間が永遠へ変容して往く様を
月のように詠うのだ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(18)