食べる 二編/乾 加津也
 
った顔が若く、輝く
瞬間の連続の生を最期まで楽しく貫くのに
炎に似た、しなやかな意思が要ることを
あなたもこの都会で知るだろう

 あなたの横を
 両手を
 ぼろぼろのズボンのポケットに落しながら
 いつかの曲がり角で希望を逝かせた
 腰のまがった老人がゆっくりと行き過ぎる

今日も食欲がやってきた
ひとは食べずには生きられないのだから
食べよう
(お日様に見守られながら)さあ、
食べよう
(己の希望を見いだせるように)

楽しく 食べる
儚くとも 食べる


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