青い春/M?lodie
もうこの世にいない人の歌声を聴く度に、なぜわたしは彼の歌声をカセットテープに残しておかなかったのかと何度も思うけれど。
夢よりも幻よりも遠くなる感情に、名前をつけませんでした。
それはきっと正しくもなく、間違ってもなく。
恋よりも愛よりもずっと静かな、真昼の月よりも薄く、冬の匂いがするわたしたちには、サヨナラだけが真実でした。
川に花を手向けました。
きみの元へ届くように。
名前のない二人には、行き着く先もなかったけれど。
たしかにわたしたちはあのとき二人で生きていました。
きみと共に溶けていったわたしの半分は、雨になれたでしょうか。
それとも風になれたでしょうか。
わたしの中
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