ふたつ ふたたび ?/木立 悟
夕べの蛇の
白い鱗
花が咲く毎に
風に引かれては消える線
枝に散る雨
水に立つ曇
湿地を分ける径
片方のうた
川の源を見つめる目
暮れの水辺に増えてゆく
息が指す空
夜はただ 目の底に降る
青空が青空をすぎ
透明な壁を倒してゆく
手のひらから分かれたものを
思い出せるように
銀と紅と
後悔の籠
窓の光に
消えてゆく扉
しるしの失い教会を
鉄の音が追ってゆく
風はかつて 此処に来た
影は 生まれねばならなかった
鳥のかたちの無数の曇が
海から生まれ海へ落ちる
忘れかけていた冬の音
双つの手の甲によみがえる
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