君みみなれぬ口づけを/ただのみきや
ような抑揚
真っ暗な地下鉄の響きが
咽深く
逆流する酸性の幻と紅い臓腑の焼印が
あの 甘味しつこく咀嚼する
唾液イト引く音節に
月足らずで産み落とす
翼ある殺意
ああ生皮剥ぐ愛を詩って下さい
ふたり刺し違える愛の詩を
この耳にしゃぶりついて欲しいのは
シニカケタケモノノウメキ
なりきれないことばの
ミダレタシセイ
反り返り
狂(ふ)れて震える欲望の
大杯へと溺れて沈み
骨を抜かれて
すっかり透けて海月と果てて
泡と消え去る
その刹那まで
君みみなれぬ口づけを
さもなくば
君シノタマウ事ナカレ
《君みみなれぬ口づけを:2015年5月4日》
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