君みみなれぬ口づけを/ただのみきや
箸でつまんで
ポトリ ポトリ
やわらかな壺へ
金色の毒虫入れ合うの
互いに舌を絡め
騙(かた)ることば
海が見たい騒がしく
鳥が声が
眼裏掻っ切って
わたしたち手探りのままでいい
真新しい家の
日当たりの良い庭へきっと埋めるから
小さな大人の
ぶよぶよに膿んだ想い
忘れずに忘れられる
ふたり一つのパレットで絵具のよう
キャンドルが倒れたままの部屋で
オト喰らい燃ユル朝
海面に浮かび
はじける 夢の記憶
行進シテイル
反対シテイル
賛成シテイル
累々と
全てが煩わしく
朽ち果てて往く肉体の
隅々に引かれた
負の路線図から
風のよう
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