ポポ・ブラジル「ケアレスミス」/花形新次
あの人のことが
忘れられない
今朝も駅で待ち伏せした
電車を列の一番前で待つ
あの人の真後ろに並んだ
あの人は私に気付かない
何故?私への愛は
冷めきってしまったの?
あんなに優しかった背中
すごく遠くに見える
悲しくて涙が溢れた
赤い快速特急が
ホームに入って来た
私も諦めなければいけないのね?
「ねえ、いけないのね?」
絶叫しながら
あの人の背中に
全力でタックルした
線路に落ちるあの人
ブレーキを掛ける赤い快速特急
私を恐怖の表情で見上げた
あの人は
見たこともない人だった
(ポポ・ブラジル詩集「自分の世界」より)
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