あなたに終わらない五月を/たちばな まこと
新緑の木漏れ日
雨上がりの朝
ひとの気配を飲む森
まぐわうように
愛をからませて吐く息
命の匂いに満ち満ちて止まない
そんな五月のように私たちが求めて止まないころ
得ようとしていたもの
おさなごの声はつたなくて強い
おかあさんおかあさん
洗いたての肌をすり合わせて
ひとつだったことを思いながら
それぞれであることを喜ぶ
私が喪ったものを思うとき
あなたのこころが泣いてしまう
ぼくはもうあのひとそのもの
ぼくは帰ってきただけ
かける言葉を層にする
やさしいひとやさしいひと
強すぎるときも前を向きすぎるときも
それでいいよと層を重ねて
強いふりをする
も
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