真昼のプラネタリウム/ホロウ・シカエルボク
亀裂から伸びる欠片の先端から昨夜の雨が祈るように滴っている廃屋の雨樋
海からの風が雲のどてっ腹をぶち抜いたみたいな紺碧の下で
いまだ同じ場所で彷徨い続ける俺の脳髄は一瞬
開かれはするが残されることのないノートパッドのようにみなしごだ
どこかの工場のスピーカーから大音量で流れる気象情報の残響が砂浜にばら撒かれている
それが真白い魚の骨に当たって機銃掃射のような音になって死ぬ―脊髄の辺りに寄り添って
水平線のあたりには台風の予感が静かに漂っている
ハロー
拠りどころのない夏だ
まだ遊泳許可の出ていない海岸ではいくつかの家族連れが
気の早いバケーションにう
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