山林の詩/山人
 
 
「山林へ」
いつものように山仕事の準備をし山に入る
ふしだらに刈られた草が山道に寝そべり
そこをあわてて蟷螂がのそのそと逃げてゆく
鎌があるからすばしこくない蟷螂は
俺たちと同じだ
三K仕事に文句も言わず
ガタピシときしむ骨におもいの鉄線を補強して
なけなしの体をつれて山林へ入る
蟷螂のような巨大な刃の付いたカッターを背負い
俺たちは木を刈る草を刈る
山の肌は俺たちにはだけられ
少しだけ身じろいだが
この久々の日光に少し心地よげだ
親方の合図で一服だ
煮えた腹に水をくれてやれ
体中の口が水を浴びている
どれおまいらにも
青く澄んだ混合油をおまいの口に流し
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