World of sorrow/opus
 

きーんこーんかーんこーん

家に帰り
犬の足を洗い
トマトのワイン煮を食べる
とても美味しい
一切れを犬にあげると
むしゃぶりついて食べる

ドアが開く
「ただいま」
私は答える
「お帰りなさい」

「今日は出先の会社で面白い事があったんだよ。」

私のお腹には新しい命が宿っている

彼の舌が私の唇をこじ開ける

丸い月が登る
星が瞬く
空気が澄んでいる

彼の寝息が聞こえて来ると
ベッドを抜け出して
冷蔵庫を開ける
トマトのワイン煮が
あと3切れ残っている
それを口にねじ込み
咀嚼する

美味い

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