World of sorrow/opus
犬が寝息を立てている
ラジオから軽快なJAZZが流れる
コトコトと白ワインでトマトを煮る
犬の隣に座って
本を読む
それはとても奇妙な小説ではあるが
これと言った内容が無い物語
6畳一間の屈託の無いアパートに住む
髪を短く刈り込んだ大学生の
男の子が
同年代くらいの幽霊の女の子と過ごす話
女の子は幽霊なのだが
別に普通に会話するだけ
一緒に楽しくTVを見て
出て行く彼を見送り
帰って来る彼を迎える
彼が出先で
事件という程でも無い出来事を
経験し
それを彼女に話す
彼女はそれからある推理と妄想をし
その意見を彼に言う
彼はそうかもしれないと言
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)