「自称詩」犬神様/花形新次
隣の山田さんちの奥さんが
近所の人を集めて
犬神様の会というのを
定期的に開催していると
妻から聞いて知った
何でも、山田さんちで
飼っていたコッカースパニエルの
ナサニエルが死んだ後
山田さんちの奥さんの枕元に立って
あれこれ予言をするようになったらしい
ある夜、山田さんちの奥さんと仲のいい
神和住さんちの奥さんのことを
病院に連れていけと言ったため
山田さんちの奥さんが
健康的な神和住さんちの奥さんの
後頭部を鈍器で殴り病院送りにした後
献身的に看護し
一命をとりとめるということがあった
それ以来、神和住さん一家を初め
町内会のメンバーのほとんどは会員となった
しかし我が家は絶対にならない
何故なら昼夜問わず吠えて煩かったナサニエルに
ネコいらずを食わして
絶命させたのは
何を隠そう
この私だからだ
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