真昼のビルディング/葉leaf
 
て爆発する

真昼のビルディングは
太陽が正午よりも高く昇る日を待ちわびている
正午に近づくにつれ
立ち上がる準備と伸び上がる準備と歩き出す準備をするのだが
いつも太陽はそれ以上昇らない
真昼のビルディングは正午に漲った力を緩めていく過程で
街の歴史をその構造の中に埋め込んでいく

真昼のビルディングは
いつも人間という神に対して畏れを抱いている
自らを設計した神がいることを
おぼろげな記憶で覚えている
だが自らの中を通行する小さな小ずるい生物が
まさか人間であるなどと思ってもみない
真昼のビルディングは正午に人間に祈りをささげる
その祈りはビルの中の生物には決して届かない

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