緋色の籠/草野春心
 


  緋色の籠は いつも
  夜がくるまで あなたの
  六畳の寝室に置かれていた
  房をなした影をひとつひとつ掻き分け
  大なり小なりの
  扉がついたところでしか
  きくことができない物語を
  わたしたちはよく 探したものだ
  

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