アキラ/吉岡ペペロ
あたしのものをよく壊した。
なんど叩いても治らなかった。
アキラには自殺願望でもあったのだろうか。そんな話をよく旦那とした。
ピノキオをこどもたちは喜んだ。黙って喜んだ。喜んでいる波動がつたわってくる。
お昼はどこも混んでいた。
旦那は空いてる店を探しにいって姿を消していた。
旦那とはブラジルサンバ同好会で知り合った。ネットで知った同好会だ。
そこで合コンがあって旦那とあたしは意気投合した。
旦那とあたしは会うと弾みっぱなしだった。ラグビーボールみたいに。
店を見つけたみたいで旦那が戻ってきた。
一瞬アキラが戻ってきたような気がした。
糞をされたくなくて飯は三日にいちどにしていた。
それでもウサギ小屋には匂いが立ち込めていた。
その店はわりと、空いていた。
そんなに列ばなくて良さそうだ。
入るとうすいケチャップがきゅうに濃くなったような匂いがした。
旦那の顔をあたしは覗き込んだ。
アキラを入れていたウサギ小屋の匂いだ。
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