春なく、春生きる/暁 文目
 
花びらを覚えるよりも続くのは そこに木がある、という認識
あの散って、地に伏している花びらは 私なのです ご存知ですか
風情とは縁遠いほど呆気ない 軽はずみだと呟く思い

花びらを拾い集めて再びと 鍵かけるよう仕舞いこんだら
貴方との日常へと引き返し 辿ってくのは行き止まりの途(と)
踏みしめる歩みに今もしがみつく 散りゆく花を ご存知ですか

柔らかな色に溢れる季節には 混じり気のない季節外れと
愛でるのに塞ぎ込まない願いごと 抱え込んでる必要あって
どちらにも貴方は居ないようだから 取り替えました、目に映るもの

花びらが空覆う春 染めるのはセンチメンタル ただ悲しくて
貴方には取るに足らない出来事も胸に満ちてく あの空のよう
ふたりきり望まないのも 始めから終わりのようで 無にも似ていて、

特別、と心地よくなる 手を繋ぎ抜け出せそうな期待を抱く
あの散った花のことより 春を行く貴方の傍に付き添う事実


作成日:2015年1月16日〜2015年1月17日
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