宝石生みの話/初谷むい
 


舌まできらきらひかる宝石生みの話をして。



異物混入屋さんで手をべたべたにしてポテトを食べているきみは、
三秒に一回はおいしいっていってるのに表情が全く変わりません。
異物混入屋さんで働いている私はきみのポテトにポテトの芽を入れて、
きみに新しさを埋めてあげたいとおもう。
べたべたと触る窓ガラスの欠片を、女児向け玩具に混入させてからきみのほうをみると、
やっぱりおいしいと言って芽を食べていた。
やめて、っていうだけの映画のワンシーンの停止モードのぼくは、
ほんとうのところきみに愛されているのでオールオッケー的な、
角砂糖の混入したマスクのうちがわを舐めて、睫毛を
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