愉快な午後/ただのみきや
 
山を駆け下り開けた浅瀬に出ると
ゆるゆると草を揺らしながら往く
水の膨らみは千変万化を繰り返し
陽射しに微笑みを返すのだ

小学生の女の子ばかり六人
紫外線から完全に身を守った女の先生と一緒に
水路の縁に立つ
手には小さなバケツとおたま
足には長靴
「あまり奥まで行くとずぶずぶになるから
気を付けてね」
先生はさらりと注意してしゃがみ込む
子供たちは囀りながら水路に入り
おたまでしきりに何かを掬っている

これは狙ったのか
それとも偶然か
おたまで オタマジャクシとは
面白すぎるじゃないか
観客(人間の)が
わたし一人なんて
モッタイナイじゃないか

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