始発電車/葉leaf
一日という、すべての人間の背後に貼りつく不気味な影を町中に伝播させるため、始発電車は今日も出発する。朝は既に始まってしまっているので、始発電車は出遅れるのだが、そこから改めて朝を始め直す力を巨体に漲らせている。始発電車は一日中すべての人間の背後で汽笛を鳴らし続ける。
人影もまばらで大気も初々しい中、陽射しばかりが明らかで、僕は今日の企みを網の目のように車内に張り巡らす。列車が揺れると網の目も揺れて、様々な可能性を未来の海から引き揚げてくるから、僕は更に網の目を細やかに、生活のこと、哲学のこと、社会のこと、何でも始発電車は知っている。
町はこんなに明るいのに死臭が漂っている。まだ
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