個人教授/藤原絵理子
 

きみの真っ直ぐな眼差しに あたしは
耐えられなかった 大人のふりをして
夢みたいなこと言っちゃだめ なんて
夢を見たかったのは あたしのほうなのに


あたしは臆病だっただけ
子供から玩具を取り上げた時のような
気分になるのを怯えていただけ
あたしなんかより…


少し幼さの残る きみの広い背中が
薄紅色の風景に 溶け去っていくのを
フランス映画のヒロインになって 眺めていた


街は暮れなずむ 青の底に沈んで
風に乗ってきた 花びらが転がって
駅のホームで戸惑っている



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