ひとつ うずみ/木立 悟
 




横たわるものと
立ちつくすもののあいだの霧
とどまるもの
落ちるもの
波のない海に
輪をつくるもの


空を追うつぼみ
変わりゆくものから痛みは去らない
口の内にあふれる髪
花に沈む首


くりかえし光を打てば
痛みはすべて己れに返り
雨の後の沈黙
消えかけた羽の渦ばかり


枝に触れるたび
枝になる肉
新たな花を夢みている
金緑の涙を見つめている


何かが聞こえ
水の光に目をつむり
ひらいたときには忘れている
指の底の名と声を


花は滴
満ちてもひとり
風の終わりへと
歩いてゆく
























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