祈り/ソリッド町子
 
眠りに落ちる前に君のことを考えていた
この部屋を出ていってもう二度と戻ってこなかったもののことを
僕たちの窓の外にはいつでも夏の青い空があって
そこには輪郭の濃い白い雲がただ浮かんでいた
君はいつでもそれをじっと見つめていた
祈りはすぐに燃えてしまうんだし
野火のごとくにあたりを燃やし
灰になって空に撒いてもダイヤモンドにはならない
ソーダ水の泡 洗濯機の渦
そんなものみたいに思い出なんてすぐに消えてしまうんだろう
忘れてしまいたくないものほどなんか甘い味がするから
人はみんなそれから先に手放す
ほんとうは永遠を願っていて
叶わないと知りながらも願っていた
地下鉄で生ぬ
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