流線型の悲しみに/ベンジャミン
 
開放されない夜

こんなにも悲しみは
不快な落下を求めて
その瞬間を嘆くことさえ許さない

形を維持できない感情は
なめらかに体をすり抜ける

闇を潜めて光彩に垂れた

透明は純粋なふりをして
どの顔も同じに映す

端にあるほど歪んだ像を舐めると
唇は縫われたように押し黙る
循環は繰り返しではなく
少しの変化を押し流して無にする
虚しさ

せめて生まれ変われよと
手を広げた鉢植えに自分を与える

弧を描きながら走り
その先端から身を乗り出した
悲しみは
きれいな流線型を重力にゆだねている

そして

泣き声もあげずに落ちてゆく
その様を見下ろすとき
安堵のため息さえ儚く吸い込まれてゆくのを

やはり救うことができない
指先も

流線型の
頼りなさ





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