西都原古墳群/秀の秋
四月の終りの西都の原は
空の青と雲の白
陽光に映えた一面の緑の間に間には
ミツバツツジの赤が美しい
ゆらゆらと若草の間を歩くと
目の前に左に右に草をまとった程々の墳丘が現れてくる
上から見ると前方後円墳なのか
まるで仰向けに寝ているようだ・・・
そうなのか、人の形なのか 千数百年の間
これらの祖先(おや)たちはそのまた祖先(おや)たち
あるいは同胞・家族とこうして同じ台地に仰向けに寝て
一緒に星々を仰いできたのか
身体は草木で覆われ、だんだんと風化していくにせよ
こうして 巡り続ける天空の星々を仰ぎながら
その果てまで共に朽ちていけるというのは
すばらしいことではないか
幸せなる祖先(おや)たちよ
今の世は幸せな死に時、死に場所など得られずに
おおかたは苦しみあるいは呆け
彷徨っているのですよ
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