無翅/木屋 亞万
 
説明もないまま
感情的に相手をこき下ろすだけの人間も
わたしは全力で嫌悪する

わたしは考える
戦争のある世界を
欲望と疑心暗鬼が生む殺戮の知りうる限りの情報を集めて
死と絶望の歴史を読み解き
そこにある嘘や誤謬や大袈裟さを割り引いて
わたしは考える
極端になりすぎないように
ほどほどであるように

圧倒的暴力を前に
どうしようもなくなれば
考え過ぎて行動できなくなるだろう
いずれ絶望のなかで殺されるとしても
世界を憎みながら私は
最後の一瞬まで
誰かを直接殺す兵器は
持たないままでいたいと願う

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