盲目ピエロ/為平 澪
 
てくれた人々の
願いの中に父がいて
私がきちんと喋れるように動けるように設えてくれた、その父の、
死の間際にも 「カエリタクナイ」 舞台が続く

私は今日も力の限り あなたの背中に叫び続ける
(オトウサン、マダ、カエレナイ、ダカラ・・・ドウカ。

あなたが一番初めに産んだ子が あなたを一番に老いさせた
家、がありながら 劇場好きで芝居好き
蛍光灯の下では歌えない 
スポットライトの加減ばかりが気になって
どんどん濃くなる自分の影と 
向き合いながら 闘う力も気力もなくて
幕が下りればその影に連れられ ぐるぐるまわる自分

(三文芝居の開演で
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