モノゴトのはなし/ただのみきや
 
く見えたり
そう月と一緒
あるいは恋と

誰かの痛みに共感する
折れない足も痛み出す
経験と想像力
あるいは隣人愛
だけど毒気に当てられて
我を失うことのないように
感じることは受け身だが
考えることは自己責任

ひとの頭の中にはそれぞれ尺度がある
貝殻みたいに固いやつが
けれど心は軟体動物並で
伸びたり縮んだりいいかげんなもの

互いの物差しを振り回すチャンバラごっこより
綾な言葉のイトを上手に取ったり渡したり
そんな遊びに夢中になりたい
楽しくなって時間を忘れ
大きくも小さくもない
ひとつのモノゴトが
夕日のように燃え落ちて
きれいに消え去る
その日まで



             《モノゴトのはなし:2015年4月15日》





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