星屑たちへ/opus
薄桃色の花びらのような
模様の入った
貝殻を背負っていた
母から譲り受けたその殻は
最初は大きかったものの
成長するとともに
次第にぴったりのサイズに
その殻に小石が一つぶつけられた
小石をぶつけたのは
幼なじみの鈍色の巻貝を持つ
ヤドカリだ
「何よ?」
「何だ?」
「何なのさ‼」
「何でもさ‼」
ヤドカリはそこで
卵を産んだ
そして、ほぼ同時期に
体に不釣合いになってきた
薄桃色の花びらの貝殻から
土色の貝殻に背負い替えた
空は夕景を示し始めた
ふと、向こうから
サンバイザーをつけた女性と
ゴールデンレトリバーが
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