歩いても歩いても終わらない/ホロウ・シカエルボク
 
ものを想像した、おれはどこか、出ることの出来ない入口からここに投げ込まれたのかもしれない、思わず上を見上げた、味気ない天井があるだけだった、それはおれをすこしだけ冷静な気分にさせた、おれはつぎに床を叩いてみた、鈍い音の中にひとつだけ、奇妙に高くなる音を立てる場所があった、苦労して床板を外すと、そこに地価へ下りる階段があった、うそだろ、と思わず口をついて出た、ためしに降りてみると、きちんと降りることが出来た、そこから中庭に出て、噴水のそばにたどり着いた、崩れかけた噴水の細工には、「一九五〇」と刻まれてあった、ただ、そうとだけ刻まれてあった、たぶん年号のことだろうと思った…羽根を手に取ると、すべては一瞬で消え去った、おれは砂漠の真っ只中に居た。




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