歩いても歩いても終わらない/ホロウ・シカエルボク
 


長い長い回廊の内側に等間隔で開けられた正方形の小さな窓からは、中庭が見下ろせる、回廊もおそらくは正方形で(と言うのは、まだすべてを歩ききっていないからで)、その回廊に囲まれた中庭も、きっとそうだろう、中庭の中心と思しき場所には遠い昔に涸れて崩れかけた簡素な石細工の噴水があり、その噴出孔であっただろうあたりにひとつのうつくしい羽根が置いてある、おれはその羽根を手に入れたくてもう長いことそこを歩いているらしいが、回廊はその場所で感じるよりもずっと大きなスケールで造られているらしく、どれだけ歩いても中庭への出口はおろか正方形の角にすらたどり着けなかった、なにかがおかしいことには気がついていた、だ
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