にくしみ(要冷蔵)/竹森
彼女はあばずれの子
僕は納豆の子
という事にして竹森は歯
を、一本ずつ抜いていった。
まずは僕の歯を
それから彼女の歯を
植え替えては抜いて
抜いては刺し
刺し替えては押し込んで
はゆっくり
と押し込んでは真っ直ぐ
に抜きかけては一気にもしくは一度に笑いながら悲しみながら泣きながら鳴きながら喘ぎながら
押し込んで
は抜く
と見せかけて
押し込んだ
悲鳴にも種類はあったが
それは最初だけであった
やがて悲鳴はモノフォニーを描き
悲鳴、僕らの顔や表情、体型、食べ物の好み体臭もしくは口臭までもが、段々と似ていった
(どの歯がどちらの歯か、案外見分けはつくもので
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